4.鉄炮百人組とつつじ

同心くん

 (もぐもぐ)。同心ちゃん、つつじがキレイな季節になったね!

同心ちゃん

 (もぐもぐ)。そうね、お祭りも盛り上がってるわね!

4.鉄炮百人組とつつじ

 昭和四十七年、新宿区の「花」として指定された「つつじ」は、元来、大久保、百人町一帯に自生していましたが、鉄炮組の定住後、将軍警護のかたわら家計を助ける内職として。有事の際には備え火薬の材料となる木炭、硫黄、石灰などを肥料として使用するべく栽培がおこなわれました。江戸中期には、「大久保百人町のつつじ」として、江戸市中一帯に大変有名になり、『遊歴雑記』や『江戸名所図絵』の錦絵にもとりあげられるようになりました。

 明治二十二年には明治天皇自らこの地を鑑賞に訪れ、その際、短歌を詠まれ、それを記念した石碑が、皆中稲荷神社境内に建立されております。つつじは明治末まで隆盛を続け、JR中央線の前身である甲武鉄道が最盛期には、臨時列車を運行するほど活況を呈しました。

 その後、時代とともに周辺は次第に宅地化され、さすがの名所もその面影をひそめていきました。
 戦後、百人町では、かつての名所を偲び、あたり一帯は都市化されたとはいえ、少しでも樹木によってうるおいをもたらそうと、毎年四月には皆中稲荷神社境内にて、地元の青年たちにより「つつじ即売会」が開かれています。また、昭和三十六年からは、地元有志の尽力によって「鉄炮組百人隊出陣行列の儀」が見事復活し、それを支える「鉄炮組百人隊保存会」も地域の文化継承と保存のために活動をしています。

参考文献

『日本人名大辞典』 平凡社
『江戸幕府役職集成』 雄山閣
『国史大辞典』 吉川弘文館
『昭54 新宿文化財総合調査報告書№5』
新宿区教育委員会
『将軍の護衛集団』 名和弓雄著
K・Kベストセラーズ発行

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